『THE WORD』♯7 第2章 We can work it out その1
「THE WORD」 著者:オカレノン/okalennon
第2章 We can work it out その1
今日も僕は大学の近くにあるいつもの喫茶店に行った。
昼休みの時間だったので中はとても混んでいた。
カウンターの席が空いているのを見つけると腰掛けた。
少しすると店員の若い女性がやってきた。
「ご注文はお決まりですか?」
僕は日替わりランチを頼むと鞄から文庫本を取り出した。
実はこれを読むのは3回目だが何回読んでも面白かった。
本を読んで待っていると日替わりランチが届いた。
僕はそれを食べながら続きを読み始めた。
とても至福の時間だった。
僕、二宮俊樹は2年前に田舎から都会の大学に進学した。
高校の時、親からは国公立の大学なら行っても構わない言われた。
成績は良い方ではなかったがそれから勉強し第1志望ではないが何とか合格した。
親も本当に受かるとは思っていなかったらしくとても喜んでいた。
大学生活は楽しい訳でもなく、つまらない訳でもなかった。
友達はいなくもないが大学で話す位の仲しかいない。もともと僕は社交性がある方ではなく一人でいる方が落ち着くので特に苦ではなかった。
一人で好きな本や漫画を読んだり空想に耽ったりするのが好きだった。
勿論いままで彼女なんか出来た事もないしそれ以前にまともにクラスメイトの女の子と話したことなんてなかった。
そうやってただただ平凡に毎日を過ごしていたのだ。
彼女、倉橋綾乃が僕の前に現れるまでは・・・。
つづく